私は50代になってから英検1級を取得しました。
英語資格試験の中でも最難関の試験の一つと言われ、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング、どれをとっても高いレベル英語力が求められます。
今までの学習より、ずっと負荷や時間かけないと、とても合格を勝ち取れませんでした。
学習を進めていく過程で、リスニングで伸び悩んでいた時期があります。

音声が聞き取れても、片っぱしから内容を忘れていってしまう。
記憶があいまいだから、いざ問題を解く段階になると、正解が選べない!!
ポジティブに言えばですが(笑)、
年齢とともに、蓄積した記憶の量が増えてきて、記憶のメモリーが残り少なくなっているので、情報が入りきらず、すぐ頭から流れ出てしまいます。
悲しいかな、人の名前だってなかなか出てこない!
そんなとき出会ったのが
「リプロダクショントレーニング」という方法。
プロの通訳になるためのトレーニングとしても採用されている手法です。
私のように、
「音声の内容が記憶に残らなくて悩んでいる」学習者にとてもオススメです。
リプロダクショントレーニングとは(シャドーイングとのちがい)
英語のreproductionとは「再生、再現」という意味。
聞こえた英語の音声をを正確に思い出し、それを再度表現する練習方法です。
リスニングを向上させる方法として他に「シャドーイング」がよく知られています。
シャドーイングは「聞こえてきた音声のすぐあとを追って復唱する方法」であるのに対し、
リプロダクショントレーニングは、「聞こえてきた音声を記憶して、一旦音声を止め、できるだけその英文を再現する方法」
両者の取り組み方の主な違いは、
「音声を一時停止するかどうか」にあります。

リプロダクショントレーニングから得られる効果
シャドーイングは発音やリズムを習得するのに焦点を当てた練習法に対して
リプロダクショントレーニングは言語理解と表現力の向上に焦点を当てた練習法です。
聞いたことを頭で記憶することが求められるので、リテンション能力(聞いたことを脳に記憶する能力)をきたえるのに有効です
このトレーニングから得られる3つの効果
- 日本語を介さずに英語のまま再現するから、余分なワーキングメモリーを消費しなくてすむ。
- 瞬時に英文の内容を理解する力が伸ばせる
- 英文の内容が記憶に残りやすい
リプロダクショントレーニングの具体的な取り組み方
- 英語の音声教材を準備する
- 英文を一文ずつ聴いて、一文が終わったら、音声を一時停止する。
- スクリプトを見ずに、聞こえた内容を正確に再現する。
- 要約にチャレンジする
1.、英語の音声教材を準備する
すこし易し目の教材から取り組んで段々レベルを上げていくことをお勧めします。
私は最初ポッドキャストを利用していました。
楽しくないと継続できないので、興味が持てるような番組を選びました。
Amazing Talker さんの「オススメポッドキャスト15選」の記事が参考になります.
自分の興味やレベルに合ったポッドキャストを選ぶと良いでしょう。

次に紹介したいのが
「英語リプロダクショントレーニング」小倉慶郎著
この本の優れているところは
- リピーティング・シャドーイングの段階を経て、リプロダクショントレーニングまで無理なく学習を進めていける
- わざわざ一時停止しなくても、適当なポーズの時間が設けてある。
- 英検準一級の二次試験の4コマ漫画のナレーションに最適な練習ができる
ただ、
音声のダウンロードができず、CD教材のみの販売であり、プレーヤーでしか再生できないのが残念な点です。
それ以外の点では大変おすすめの教材です。
私は最終的には、TED talkで自分の興味のあるスピーカーを題材にしてトレーニングに取り組みました。
今でも、NHKの語学講座の「ラジオ英会話」や「ニュースで学ぶ現代英語」の番組を聞きながら、日々実践・継続しています。
日々の英語学習法の記事
2、英文を一文ずつ聴いて、一文が終わったら、音声を一時停止する。
3、スクリプトを見ずに、聞こえた内容を正確に再現する。
その文章の意味のイメージと英語で文章を再現できることが目的なので、一語一句というほど正確な再現でなくとも大丈夫です。
慣れてきたら、ある程度まとまりのある文章で挑戦してみましょう。
4、要約にチャレンジする
この段階は3の再現に慣れてきてから取り組みました。
要約の練習はとても負荷の高いトレーニングですが、スピーキングの向上にも役立っています。
要約する際は、基本的に5W1H(What, When, Where, Why, How)を意識しています。
まとめ
このトレーニングを続けた結果、リスニングの力が底上げされました。
私の場合、シャドーイングをやっていると、英語の音ばかりに集中してしまうので、内容の把握がおろそかになっていたのです。
もちろん、英語の音に慣れていない段階では、シャドーイングはとても有効な方法です。
自分がなぜ聞き取れないかを分析して、どちらかの方法を選択していけると良いですね。
リプロダクショントレーニングは、小さなお子さんが言葉を覚えるプロセスに似ていると思います。
お母さんやお父さんが発した言葉をマネをして、子どもは言葉を覚えていきます。
最初は上手にマネできなくても、だんだん精度が上がっていく過程は自然な言語習得方法。
実に理にかなっています。
